【弧白】
「ふ……痛いのが嫌なら仕方無いねぇ。
だったら、こっちへおいで?」
【藍丸】
「……ん、む……っ!?」
【藍丸】
「っん、ぁ……こら、弧白……んく……っ」
突如背後を取られ、抱きすくめられ、唇を奪われる。
あまりの驚きに、藍丸も双眸を瞬かせるしかなかった。
【弧白】
「……ん、……ふふ……」
……狭い地下の間に、どこか卑猥な水音が木霊する。
懸命の抵抗も空しく、藍丸は総身が抑えられ、
口腔を犯されるがままになってしまった。
せめて文句の一つでもと願うが、
唇が塞がれている以上仕返しすら叶わない。
【藍丸】
(ぅ、ぁ……舌……が……深く……っ)
ざらり……
驚くほど巧みに舌の表裏が隅々まで舐め回されゆく。
絡み合った箇所からざわめくような感触が生まれ、
全身へ未知の痺れが伝わっていく。
【弧白】
「……、く……っ……」
一体何の術なのか。力一杯足掻いているはずなのに、
二人の身体は微動だにしない。
嘉祥が口を挟まぬのは、よもやここまで深い陵辱が
行われていると思いもしないためだろうか。
【藍丸】
「ふ……んっ、ぐ……!?」
息苦しさから呼吸を求めると、
己の吐息は艶めかしい喘ぎに変わっていた。
あまりの羞恥に頬を染めるが、弧白は明らかにそれを
愉しんでいる。
だが、商売敵の前でこんな痴態を晒していることに
藍丸は耐えられない。
【弧白】
(――素直におなり。優しくしてあげるから)
【藍丸】
「っ!? んっ……ぁ、ふ……」
初めは肩やら背中やらを固く掴む力が痛かった。
だが、唇越しに流し込まれる一方的な恍惚に、
理性に先んじて肉体が支配されつつある。
この行為が淫らなもので、悦びに値するものなのだと、
知りたくもないことに気付いてしまった。
【藍丸】
(ん、は……嘉祥の前で……なに、しやがる……)
【弧白】
(ふ……あの男に見られるのが癪かい?
確かに、今のお前はあまりに扇情的かもしれないが)
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