紅色天井艶妖綺譚

用語解説

妖(あやかし)
妖怪には「意識の集合体として出来上がった存在」と「モノがある程度の長い生を消化し心を持った存在」の二種類が存在している。
前者は妖(あやかし)であり、後者は付喪神と呼ばれる。

本作品では、意識の集合体として出来上がった存在の妖達が主に活躍する。

妖は理性や理屈よりも本能で動く事が多く、その生は人間より途方もなく長い。
妖の特徴として「借り」を重んじ、一度同胞から、または人間からうけた恩はきっちりと返そうとする。借りを返せばあとは知らん顔、敵対も容易にする。

稀に妖と人間が仲を成し、子どもが生まれることもある。それは半妖と言われる。
半妖(はんよう)
本来妖は自然発生的に存在するものだが、この場合は女の出産によって生まれる。
妖怪は「好きな相手は人間がするように恋愛対象として大事にする」という人間的なものから「喰らい一部とする」などがあるが、子どもという相互関係の副産物には一様に興味がなく、特に母親が妖の場合、夫が生きている間は面倒を見るが、夫が居なくなれば途端に興味をなくし、放り出されるのが通例。

しかし妖として持つ能力は生まれた瞬間から会得しており、特に一人で生きていくのに困る事は無い。

その妖力は生まれた時点で決まっているが、強ければ強いほど人間には馴染めず迫害され、弱ければ人間と変わらず生活は出来るが、結婚などで支障(何も知らない人間と結婚し子供が出来た時に正体が発覚する)が出るため、結局幸福に生を終わらせられるのは一握りである。

当時の江戸にはそのような存在が少なからずおり、各々ひっそりと出自を伏せ、人間、または妖として暮らしている。
派閥(はばつ)
妖は特別な階層意識を持っていて、力のある妖に従属するという本能がある。
よって、妖の世界では人間でいう「派閥」が存在し、派閥の長たる妖の命令は絶対である。

派閥に入るか、入らないか、もしくは出るという決定は各妖に委ねられている。
入るには長の承認が必要。

入れば長からの命令は絶対だが、抜ければなんの関わりも無くなる、という非常にさっぱりしたものであった。
集団の特性として力のある長同士がぶつかれば一大抗争へと発展する。

二十数年前、ある派閥が一夜にして解散された。所属していたうち大多数は混乱もなく散っていったが、極々一部はそのことに非常に強い不満を持っている。
羽織(はおり)・羽織役(はおりやく)
妖の長は別名羽織とも呼ばれ、その地位に居るものは羽織役と呼ばれる。
その所以は派閥の長は各々の力を示す色を纏う習慣がある所為であり、特に羽織り着物を肩掛けするものが多かった事からこう呼ばれている。

江戸では現状規模を問わず6つの派閥が存在している。
剥妖刀(はようとう)
桜螺(さくら)が持っている特別な刀のこと。
「妖を剥がす」……すなわち妖に切りつければ消滅させ、半妖に振るえば妖の血を消滅させて人間に戻すという刀である。
桜螺の持つものは非常に力に溢れていて、物語冒頭で危険を感じた藍丸は炎で桜螺を退けようとするも……。
金鍔(きんつば)
藍丸の好物。きんつば。一度に四つ位は食べてしまうほど。しかし口に入れるのに上手く切れないのか、雷王や弧白に竹串で等分させて食べる事が多い。行きつけの店は「大黒屋(おおぐろや)」。この店で良く待ち合わせもする。
狭間(はざま)
あの世とこの世の間にある隙間のこと。この中では距離概念が消滅する。
妖でこの空間に棲み付いたり利用できる力を持ったものが稀に居り、襲などがそれに該当する。目には見えないが至るところに存在し、襲はその中を通って一瞬にして場所移動や物を動かす事が出来る。
憑神(ツキガミ)
人間に望まれ神となった存在のこと。各地方を昔から護っていたが、江戸時代には既にその信仰は廃れ消滅してしまうものもいる。
蝶寵は特定の血筋のものと契約することにより力を振るう事が出来る。桜螺には例外中の例外として神から名を与えることで、自らを行使させている。