鎖国を解き、国際社会に加わって僅か半世紀余り。
日本は飛躍の発展を遂げたが、それでもまだ欧米列強に大きく水をあけられている。

白人どもの蔑視も根強い。
国際会議においても、日本は末席の屈辱を強いられている。

しかし、このままではおかない。
いずれこの世界を、旭日旗で埋め尽くしてみせよう。

今は雌伏の時だ。

白人どもが赤色革命にうつつを抜かしている間に、日本は殖産し、進軍し、国力を付ける。

【千家】
「……まずは亜細亜だ」

永らく欧米の蹂躙に甘んじていた亜細亜の盟主に、我が国が名乗りを上げるのだ。

大東亜の理想を実現させる時は、近い。

千家の指は、印度亜大陸から支那国までをゆっくり辿る。

マラヤ、シャム、バタヴィア、青島そして満州。
これらの土地には、鉄も油も無尽蔵にある。

豊富かつ安定した物資を元に、欧米の植民地支配を跳ね除け、駆逐し、
大日本帝国を真の覇者たらしむるには――。

【千家】
「誰にも何にも、邪魔はさせんよ」

たとえそれが天地司る神であろうとも。

千家の手の中で地球が廻る、からからと。
目まぐるしく自転する、夕映えを受けて。

矮小化された世界図からは、
JAPONを除く全ての国名が無慚に掻き破られている……。